N邸は80代後半のお父様とお母様、60代の息子さんご夫婦、20代のお孫さんの3世代5人でお住まいです。建物は、築38年(昭和52年竣工)ですが、見た感じはとてもしっかりしていて、まだまだお孫さんの代まで使えそうな感じでした。
今回は、この建物を残そうというお父様の思いから、耐震補強のご相談がありました。
前年に耐震診断をされており、お父様ははじめ、耐震補強しか考えていらっしゃいませんでした。しかし、せっかく補強のために壁を壊してリフォームするのなら、ご自分のことも考え、一緒に断熱やバリアフリーも考慮した方が良いことをご提案しました。
お母様は、ご高齢のこともあり、最初は住みながらのリフォーム工事に抵抗があったご様子でしたが、できあがった時はとても喜んでくださいました。
図面は寝室と水廻りの部分です。
寝室はお母様がお使いで、お父様はトイレから離れた客間の和室でお休みになっていました。
スキップフロアで、階段を上がり降りしなければならず、高齢で腰痛のあるお父様が、今後大変になることは明らかでした。トイレ、浴室に近い寝室のスペースを広げ、お父様が寝られるようにし、水廻りはバリアフリーを考慮したプランに変更しました。
N邸は1階の天井が高く、解体してみると、筋交いが梁のある柱頭まで達していないところが多くありました。新規の筋交いを入れ、また、筋交いがある耐力壁の下に基礎がないところには基礎を新設し、補強しました。
寒かった在来のタイル貼りの浴室を断熱効果の高いシステムバスに変更しました。
また、耐震補強した外壁側の壁と、小屋裏がある天井はすべて断熱材を入れました。
浴室、洗面脱衣室、1階トイレ、寝室、リビング、DKの窓は、ペアガラスの内窓を入れて断熱補強しました。
廊下から開き戸で出入りするトイレは、奥まっていて介助しにくいので、洗面所から引戸で横から入るようにしました。洗面所のドアは開け放しておいても邪魔にならないよう引戸にし、洗面所、トイレの床は廊下との段差をなくし、フラットにしました。
階段には手すりを設置しました。